個人的にジャパニーズウィスキーに思うことがあります。
自分は主に、スコッチ(スペイサイド、ハイライド系)か、バーボンのSt.Nickばかりをいただきます。そんな自分にとって、時折いただくジャパニーズウィスキーはバランスはよいのだが、自分が求めるウィスキーの素晴らしさとはほとんどが違うものだったりするんです。その理由については、恐らく、あまりに完成度が高くて面白みがないのではないだろうかと思っていたり。
そんな感性を持ち合わせた自分が「シングルモルト余市1987」をいただいた時は世界が広がりました。日本でもこんなに面白いシングルモルトが作れるんだと大変感激したわけです。
だから故に、イベントでの質問でこんなことを聞いてみました。
「女性とBarに寄った時に、格好よくオススメができるようなシングルモルトを、ジャパニーズとして作る予定はないのでしょうか?」
質問の背景として、女性にとってピート感(煙ったい、スモーキーといわれる感じ)のあるシングルモルトは、それだけで拒否反応が出るケースが多いという実感があるんです。
そういった背景の解決策として、自分はよく「バルヴェニー・ダブルウッド12年(Balvenie Doublewood 12 yo)」を勧めることにしてます。シェリー樽の中で追加で熟成させており、甘さが強く、ピート感がない。だからアルコールは40度と強いながらも、シングルモルトの味をそのまま楽しめるストレートで勧められます。アルコールがあまりにつよければ、そこからロックへ、ハーフロックへと勧めることで違いも楽しめるのです。これは実におすすめなので、女性とウィスキーを楽しみたい方は試してみて欲しい。実はそろそろ入手が難しくなってきてるので、興味がある方はお早めに。
ちょっと脱線したけれども、自分にとっては「バルヴェニー・ダブルウッド12年(Balvenie Doublewood 12 yo)」のような、女性に優しいシングルモルトは日本でも作られることはあるのだろうか?という質問をしたわけです。
真意が伝わったかどうかわからないが、チーフブレンダーの久光さんに回答をもらったところ、「宮城峡を勧めてください」とのことだった。
一度だけ宮城峡12年をいただいた記憶があった自分にとって、そんなシングルモルトだっただろうか?と思いつつ。イベントのメインが終了。
その後に、余市などを追加でいただけるということなので、真っ先に宮城峡を懇願していただいてみた。そして感想としては。
・アルコール感が強い(飲んだ時にアルコールによるピリッとした痛さが残る)
・フィニッシュ感が弱い(言い換えればさらっとした飲み口)
そのほか細かい点はいろいろと思ったけれども、印象として上記の2点。
実は、個人的に思う飲み口としては、上記2点は女性に勧めるに値しない価値観だと思う。なにせ、アルコール感が出るというのはウィスキーは強いというイメージを強めるだけの結果が勝り、ストレートでの魅力を伝えられるだけのインパクトは与えられない。また、フィニッシュ感の軽薄さはウィスキーの魅力を伝えるのに物足りない。
※これは必ずしも、宮城峡のフィニッシュが悪いというわけではないが、フィニッシュの余韻はウィスキーの武器の一つであり、その武器をあえて弱くしてしまった宮城峡は楽しみを教えるのに中途半端だと思う。
さて宮城峡について淡々と悪口を書いたわけだが、こんな感想を持った自分に、Asahiの方がこう答えられた。
「是非、加水をしながら楽しんで下さい」と。
実はここまでが前置き。されどもこの前置きなくてはこの魅力は伝えられない。
そんな思いで、こんな長文があるわけです。
加水をするという行為は主に2つの効果があります。
1)香り、味わいなどの変化を楽しむ
2)アルコールが弱くなる
だいたいのBarではオーダーするときに飲み方を決めて頼みます。ウィスキーと水に限ったオーダーの仕方だけでも、ストレート、ロック、ハーフロック、水割りといった具合でしょうか。
上記のように複数のオーダー方法はあるのですが、実は加水という行為の楽しさは、普通はなかなか気づかないものなのです。ロックや、ハーフロックあたりだと、氷が溶けてきて、香りや味が変化するのですが、なかなか初めからそれに気づく方は少ないですしね。
そこで、Asahiの方は考えたそうです。どうやったら加水の魅力を引き出して女性に提供できるだろうかと。行き着いた結果が次の写真。
このチューリップグラスの脇にあるガムシロップを入れておくような容器はなんだろうか。実はこれはウィスキーを加水するために、水をいれておくための容器なんです。
「
青山 ニッカブレンダーズBAR」では、こんな飲み方をお勧めしているとのこと。
1)シングルモルトのストレートと、ガムシロップ容器に水をいれた状態でご提供
2)自分の好みでシングルモルトに加水(この際に1滴ずついれるのがポイント)
3)ある程度(ハーフロックくらいまで)加水をした後は、ロックグラスに移す
いやーなるほどなーと思いました。
これ自宅でやったことはありますが、確かにBarでやったことはなかったです。
客としても、1杯のウィスキーで変化を楽しめるだけでなく、時間的にも長く楽しめるということで、経済的にうれしいとのことでいた。
女性を酔わせる目的(ぉ)ではなく、さらっとBarを楽しむのであれば、これは男性陣にとって、もってこいな楽しみ方ですね。
このガムシロップの容器は、ずっと探しまわって、試行錯誤しながら行き着いたアイテムだそうです。他のBarでも似たような容器を常備し始めちゃったりしてね。
ほとんどのBarでは、上記のような容器はおいてないでしょうから、普通のグラスに水をいれておいてもらって、マドラーで加水するといいかもしれませんね。宮城峡でなければ、日本であれば軽井沢、スコッチならバルヴィニー、クライネリッシュ、クラガンモア、グレンモレンジとかいいかも、マッカランも王道ですね。
こんな女性に優しい「
青山 ニッカブレンダーズBAR」に++。
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